11月14日、芝SIAビルにて、2024年度「東京都20歳未満喫煙防止協議会」が開催されました。
この「東京都20歳未満喫煙防止協議会」は、東京都における20歳未満の喫煙を防止する社会環境づくりに向けて、東京都の官公庁、関係団体等が協働の取り組みを進めるにあたり、必要な事項について検討し、実施するために設置されたものです。
協議会の構成員は、警視庁(生活安全部少年育成課)、財務省関東財務局東京財務事務所、公益社団法人全国少年警察ボランティア協会、一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会、一般社団法人日本たばこ協会、日本たばこ産業株式会社東京支社、フィリップ モリス ジャパン合同会社、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン合同会社、全国たばこ販売協同組合連合会、東京都たばこ商業協同組合連合会の10団体。
協議会は、東京都たばこ商業協同組合連合会会長・森岡和夫氏の挨拶から始まり、出席団体の20歳未満喫煙防止対策についての報告がなされました。
各団体の報告概要は以下の通りです。
■一般社団法人 日本たばこ協会
当協会の主な取り組みとしましては、「20歳未満喫煙防止強化月間」があります。これは、学校が夏季休暇を迎える時期に、たばこの販売および20歳未満の方が多く集まる施設運営に携わる団体と協力し、20歳未満喫煙防止活動に取り組むことにより、社会全体の意識向上を図ることを目的にしたものです。
「20歳未満喫煙防止強化月間」は2009年から始めたもので、2011年を除き、毎年7月に実施しています。2011年は東日本大震災のため、11月に実施させていただいています。
協力団体は、一般社団法人日本フランチャイズチェーン協会、日本チェーンストア協会、一般社団法人日本スーパーマーケット協会、一般社団法人日本ボランタリーチェーン協会、一般社団法人全国スーパーマーケット協会、一般社団法人日本カラオケボックス協会連合会、一般社団法人日本複合カフェ協会、公益社団法人日本観光振興協会、オール日本スーパーマーケット協会、一般社団法人日本自動販売システム機械工業会、公益社団法人日本ボウリング場協会の皆様です。
主な活動内容は、⑴中学校・高等学校での訴求ポスターの展開、⑵対面販売および20歳未満の方が集まりやすい施設での店頭訴求ツールの展開、⑶全国たばこ販売協同組合連合会主体の啓発イベントの支援、⑷警察庁との協業により、全国の都道府県警察でのポスター掲出およびポケットティッシュの配布活動、⑸メディア施策キャンペーン、以上の5つです。
2024年度の訴求ツールのキャラクターには、どの活動でも共通して、漫画やテレビアニメ、劇場版でも人気を博している『ブルーロック』を起用しました。『ブルーロック』を起用した背景として、ターゲットとなる年齢層の方々から非常に高い人気を集めていること、作中に登場するキャラクターがターゲットと同世代であることなどから、20歳未満の喫煙防止に対して高い効果を得られるとの期待がございます。
(1) 中学校・高等学校での訴求ポスターの展開では、「NO UNDER 20ロゴ」を訴求するとともに同世代からのメッセージも直接訴求したポスターの配布を実施。2022年4月の民法一部改正により成年年齢が18歳に引き下げられても、喫煙禁止年齢は現行どおり20歳未満であることを強調しております。
(2) 対面販売および20歳未満の方が多く集まる施設での店頭訴求ツールを展開では、「NO UNDER 20」を訴求するとともに、年齢確認への協力を呼びかけるツールを、全国のたばこ販売店、コンビニエンスストア、スーパーマーケット、カラオケボックス、インターネットカフェ等の協力団体の店頭にて掲出していただきました。
(3) 全国たばこ販売協同組合連合会主催の啓発イベントの支援については、全国たばこ販売協同組合連合会と協働で、ティッシュ配布による啓発活動のお手伝いをさせていただきました。主に7月に行っていますが、これから実施する地域もございます。
(4) 警察庁、都道府県警察との協働では、警察庁さんを通じて全国の警察署にポスターとティッシュを送付、掲出や配付といった活動に今年もご協力をいただきました。
(5) メディア施策キャンペーンも7月に実施しました。ターゲットに対する20歳未満喫煙防止の幅広い認知獲得を目的として、ターゲットに関心の高い『ブルーロック』とコラボしたコンテンツを活用したデジタル広告を展開、TIOJのホームページとX(旧Twitter)上にてキャンペーンを通じた20歳未満喫煙防止の啓発とTIOJの取り組みを周知いたしました。Yahoo!バナー広告やX(旧Twitter)での広告からTIOJのホームページやX(旧Twitter)アカウントに誘導し、プレゼントキャンペーンを実施したところ、X(旧Twitter)では7月前半で22万View、7月後半では23万Viewを獲得し、ターゲットに対する20歳未満喫煙防止の幅広い認知獲得に大きく貢献したと評価しています。
販促等における自主基準の策定も当協会の大きな役割です。たばこ事業法第40条(広告に関する勧告等)の趣旨に従い、メーカーが実施する広告・販売促進活動・包装に関する自主基準を策定し、必要に応じて順次改定しております。20歳未満喫煙防止に関連するものは以下の通りです。
- テレビ、ラジオ、映画、交通・輸送手段を用いた広告は行わない
- インターネットサイトを用いた広告については、公的な証明書等による年齢確認を行い、発行したID・パスワードによる認証のうえ20歳以上のみ閲覧可能とする
- 新聞、雑誌等の印刷出版物を用いた広告については、20歳未満向け雑誌は不可とし、広告の掲載面、面積、広告回数も制限
- チラシ・パンフレット等による広告は、身分証明書等で年齢確認を実施した20歳以上の者にのみ配布
- 20歳未満を対象とする、又は20歳未満に訴求する製品広告・販売促進活動は行わない、等
今後も日本で「たばこ」を販売するメーカーの団体として、20歳未満喫煙防止活動を皆様と協働して継続していきたいと考えておりますので、どうぞ、よろしくお願いいたします。
■日本たばこ産業株式会社 東京支社
喫煙は、健康に関する情報を認識したうえで、一人ひとりが大人としての判断にたって喫煙するかどうかを、ご自身で決めていただくものです。20歳未満の方は心身の発達過程にあり、それぞれの性格および生活様式が未確立であり、かつ判断力も十分ではありません。加えて、20歳未満の方の喫煙は法律によって禁止されています。
JTは20歳未満の方にたばこを吸わせることを意図した活動は一切行っておりません。JTは企業としての社会的責任を果たす観点から、従来から関係団体と連携しつつ、20歳未満の方の喫煙防止のための諸対策を行っています。
20歳未満の方の喫煙問題は、たばこ業界だけで解決できる問題でなく、家庭環境も含め社会全体で取り組む必要のある問題です。JTは、20歳未満の方の喫煙防止に向け、今後とも引き続き関係団体との連携を一層強化し、諸対策に積極的に取り組んでいきます。
以下、JTが現在行っている具体的な20歳未満喫煙防止の活動内容をお伝えさせていただきます。
(1)Ploomショップでの対応
JTでは加熱式たばこのブランドPloomの専門店を展開しておりますが、こちらでは店頭に20歳未満は立ち入り禁止である旨をわかりやすく全店舗に掲示しております。
(2)免税店での対応
空港等の免税店スタッフは常時、胸元に20歳未満喫煙防止バッチを必ず装着し、20歳未満喫煙防止を徹底しております。
(3)メディアへの対応
20歳未満喫煙防止活動の強化月間である7月に新聞広告を掲載しました。2024年度は中央5紙と、その他全国ブロック紙・地方紙に掲載。今年度のキャッチコピーは「気にかけてもらえた子は、気にかける人になると思う」です。コピーの意図としましては、子どもの頃に大人にしてもらったことは、大人になって思い出し、同じような行動を取る。だから「気にかける」というバトンを渡していきましょう、というものです。
(4)20歳未満喫煙防止協議会及び啓発キャンペーンへの参加
2023年度の実績としまして、全国あわせて協議会には33回、啓発キャンペーンには102回参加しております。
■フィリップ モリス ジャパン合同会社
フィリップ モリス ジャパンでは、20歳以上の喫煙者のみにフィリップ モリス社製品を選択してもらうことを目的としてマーケティング活動を行っており、当社のマーケティングが20歳未満の方を対象とすることはありません。
当社では、たばこのマーケティングに関連する法律、省令、日本たばこ協会の自主基準に加え、より厳しいフィリップ モリス インターナショナル(PMI)独自のマーケティングポリシーを自主的に設定・遵守しています。具体的には、「燃焼を伴うたばこ製品の基本原則」、「燃焼を伴わないたばこ製品の基本原則」を定め、この原則に厳格に則った活動を行っています。
また、当社の煙の出ない製品への切り替えのための基本ポリシーを設けました。この基本ポリシーでは、当社が提供する煙が出ないたばこ製品は、たばこを吸う意志のある20歳以上の喫煙者向けの製品であり、20歳未満やたばこを辞めた方、たばこ製品を使ったことがない方に提供いたしません。これに関連し、煙が出ないたばこ製品に関わるアクセサリー等の販売も、20歳未満には一切提供しないこととしています。
以下、具体的な20歳未満喫煙防止の活動内容をお伝えさせていただきます。
(1) iQOSストアでは、20歳以上の喫煙者のみを対象者としていることが店外からも見えるようなコミュニケーションと、20歳未満の入店をお断りするサインを掲示し、入店される場合の身分証の確認を徹底しています。
(2) 当社は、販売店様における20歳未満喫煙防止のための説明資料を作成、販売店様での理解を深め、20歳未満の方の製品へのアクセス防止を促しています。また、20歳未満の方の製品へのアクセス防止を喚起するステッカーを作成・配布するとともに、口頭だけでなく何らかの証明書の提示を求めて年齢確認することを販売店様に推奨しています。
(3) 民法の改正によって成人年齢が引き下げられたものの、たばこは20歳未満の者は禁止というのは変わらないため、その旨をIQOSウェブサイトにおいても掲載、注意喚起を継続しております。
■ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパン合同会社
我々は20歳未満の者は喫煙してはならないと考えています。加えて、20歳未満の喫煙は法律で禁止されています。
弊社製品のマーケティングについては、日本の関連法令、一般社団法人日本たばこ協会が定めた自主規準、弊社グループが定めたマーケティング国際原則を遵守し、20歳以上の喫煙者に対してのみ行っています。
また、日本たばこ協会の活動、全国たばこ販売協同組合連合会の活動を通じて、20歳未満の喫煙防止に取り組んでいます。
以下、具体的な20歳未満喫煙防止の活動内容をお伝えさせていただきます。
(1) glo公式ウェブサイトでは、メンバー登録に本人確認書類を用いた厳格な20歳以上の認証制度を導入しています。
(2) 20歳未満喫煙防止活動として、日本たばこ協会様、全国たばこ販売協同組合連合会様の活動に継続して参加しています。資料でご紹介させていただいているのは、昨年6月20日に埼玉県たばこ商業協同組合連合会様の活動に参加したもの、昨年7月12日に神奈川県たばこ商業協同組合連合会様の活動に参加したものです。例年、多くの都道府県で同様のキャンペーンに参加し、注意喚起のポケットティッシュ等の配布を行っています。
今後とも20歳未満喫煙防止に向けて、引き続き関係団体と連携を図りながら積極的に取り組んでいきたいと考えていますので、どうぞよろしくお願いいたします。
■一般社団法人 日本フランチャイズチェーン協会
私たちコンビニエンスストア(CVS)は、社会的責任の一環として自主的に「安全・安心なまちづくりに協力」と「青少年環境の健全化への取り組み」を2つの柱とするセーフティステーション(SS)活動に取り組んでいます。
この活動は、日本フランチャイズチェーン協会(JFA)内に設置したSS活動推進委員会を通じ、関係省庁からも後援をいただき平成17年より全国のCVS店舗にて実施しております。
20歳未満者への酒類・たばこの販売防止については最重点課題と認識し、JFAとして業界をあげて取り組んでおります。特にたばこについては、taspo導入以降、CVS店舗でたばこを購入しようとする20歳未満者が増加した中、これまで以上に「販売時の年齢確認の徹底」を図り、20歳未満者への販売防止に努める必要性が高まっていることを踏まえ、CVS業界全体として取り組みを進めております。
SS活動における20歳未満者への酒類・たばこ販売防止のための重要な取り組みとして、「年齢確認の告知」と「関係機関との連携」がございます。
(1) 年齢確認の告知
酒類・たばこを販売する場合の年齢確認を徹底するために「年齢確認ガイドライン」を策定しております。このガイドラインに沿って年齢確認の徹底を進めておりますが、お客様のご理解がなくてはならないため、JFA統一告知ツールとして「酒類・たばこのご購入に際しては年齢確認をさせていただくことがある」旨を記載したレジ用POPを掲出しております。
また、店舗従業員が状況に応じて確実な年齢確認を行えるよう、具体的な行動例を従業員用マニュアルに記載するとともに、昨年度は年3回「SS活動通信」に年齢確認の徹底を掲載、各店舗での掲示による周知を行っています。あわせて従業員マニュアルと「SS活動通信」を用いた店舗内教育も継続的に実施しています。
(2) 民法改正(成人年齢引き下げ)に対する取り組み
2022年4月から改正民法施行による成人年齢引き下げへの取り組みとして、CVS各社で店舗レジのディスプレイCMの継続的表示や法定表示物・教育用マニュアル類の改訂の実施し、お客さまに対する啓発、従業員に対する教育を継続的に強化しています。
(3) 関連機関との連携
本日ご出席の各団体様と連携し、20歳未満喫煙防止協議会、啓発イベント等へ積極的に参加しております。昨年度の20歳未満喫煙防止啓発イベントの参加状況は、全国37都道府県65都市、合計258名参加しています。参加者はCVS本部職員から地元の店舗オーナー、従業員など幅広いものとなっており、CVS業界全体の取り組みとしております。
また、各財務局様や警察本部様など関係機関のご協力による「20歳未満者販売防止に関する講習会」を加盟店責任者や本部社員を対象に開催し、協業による啓発活動を実施しております。
しかし、残念ながら酒類・たばこを購入されるお客様との年齢確認時におけるトラブルが継続的に発生している状況です。こういったトラブルの件数は微減傾向ではありますが、それでも2023年度の全国で何らかのトラブルが発生した店舗は20,435店、うち、器物損壊まで至ったケースが855店、暴行まで至ったケースが161店発生している状況です。こういった状況もあり、店舗の現場からは、酒類・たばこ販売時の年齢確認において、購入者に年齢確認証明書提示義務を負わせるような法律・条例の改正についての要望がでております。
20歳未満者喫煙防止はCVS業界全体での取り組みです。SS活動による加盟店舗・従業員への継続的な啓発・教育活動、行政・関係団体様との連携強化による活動を中心に、CVS業界の重点テーマとして引き続き取り組んでまいります。
■全国たばこ販売協同組合連合会
弊会では、20歳未満の喫煙を防止するための啓発ポスター掲出や、自販機への啓発ステッカー貼付による訴求を始め、「愛の一声運動」などの活動に組織を上げて積極的に実施しております。それぞれについてご説明させていただきます。
(1) たばこ自販機での取り組み
弊会では、20歳未満の者に自販機からたばこを購入させないことを目的としたtaspo自販機の運営を行っております。taspo自販機は、日本たばこ協会、日本自動販売機工業会(JVMA)および弊会の業界3団体の20歳未満喫煙防止の取り組みとして、2008年7月から全国導入し、長きにわたって20歳未満喫煙防止に大きく貢献してきましたが、システムの根幹であるNTTドコモのFOMA回線(3G)終了にともなって、2026年3月末をもって終了することが決定しております。
2026年4月以降の自販機売場での20歳未満喫煙防止対策としては、運転免許証、マイナンバーカード方式の年齢識別装置への切り替えにより行っていくこととしております。
(2) 販売店頭での活動
愛の一声運動として、「20歳未満には売らない、買わせない、吸わせない」をスローガンに、店頭での声掛けを長年にわたり継続実施しております。また「全国たばこ新聞」等を活用することで販売店に向けての周知・啓発の実施や、たばこ販売店店頭での各種POPによる訴求など、取り組みの強化に努めております。
(3) 20歳未満喫煙防止協議会の開催
本日の当協議会を始め、同様の協議会を全国各地で主催しております。また20歳未満喫煙防止啓発イベントにつきましても、全国各地で主催しております。この2つの取り組みは来年度以降も引き続き実施いたします。
(4) 関係省庁との協働
20歳未満喫煙防止対策協力要請について、財務省及び警察庁への働きかけを行った結果、対面販売の際に年齢確認を求めるポスターが作成される運びになりました。全協におきましては、ポスターをステッカー化し、組合員による掲出を行うことで20歳未満の喫煙防止に努めているところでございます。また、たばこ売場における「20歳未満喫煙防止」に関する研修を日本たばこ協会様、警察庁様などから協力を頂きながら長年にわたり実施、青少年の健全育成に努めているところでございます。
私ども、たばこの販売を生業としている団体は、20歳未満への販売はあってはならないことと強く認識しており、常日頃から細心の注意を払っております。今後とも、関係機関・団体様とこれまで以上に綿密な連携を取り、20歳未満の喫煙防止に注力してまいります。
■東京都たばこ商業協同組合連合会
東京都たばこ商業協同組合連合会は全国たばこ販売協同組合連合会の会員であり、基本的には全国たばこ販売協同組合連合会の活動を着実に実施しておりますが、特徴的なところを3点ご紹介いたします。
(1) 年4回発行の「連合会だより」において、20歳未満喫煙防止に関する特集を組み、啓発活動を実施しています。
(2) 全協作成の年齢確認ステッカーの貼付に加え、一部のたばこ屋さんではありますが、20歳未満喫煙防止を訴求した「のぼり旗」の掲出をしております。しかし、のぼり旗の掲出は道路占有の問題もあるため、都心部のたばこ屋さんでは実質的には掲出できないところもございます。
(3) 20歳未満喫煙防止啓発イベントについては、例年7月にJR渋谷駅周辺にて、東京財務事務所様、警視庁様、日本フランチャイズチェーン協会様、日本たばこ協会様、たばこメーカー様などの関係団体様のご協力を得て、ツール配布と呼びかけによる啓発活動を実施しております(2020〜2022年度はコロナ禍のため中止)。
本年は7月22日(月)にJR渋谷駅西口周辺にて実施いたしました。
■警視庁生活安全部 少年育成課
警視庁からは、昨年の都内の少年補導状況と20歳未満喫煙禁止法違反の取り締まりをした事案とあわせて、取り組みについてお話ししたいと思います。
令和5年の都内の補導状況は、警視庁全体で32,492件。一昨年の令和4年に比べると、マイナス471件です。令和5年までの10年間でみると、多少の増減はあるものの、補導自体は減少傾向にあり、10年前に比べると、補導の件数は約半数になっている状況です。
昨年の補導件数32,492件の中で、一番多かったのは、深夜徘徊などで20,687件、約64%を占めています。次いで多かったのが喫煙で全体の16%、人数にすると4,718人が補導されています。この3年間の喫煙の補導人員は、令和3年が4,908人、令和4年が4,659人、令和5年が4,718人ということを考えますと、ほぼ横ばいで推移しているといえます。
しかしながら、10年前に比べると喫煙についても大幅に減少し、半数以下となっています。その理由として、たばこを吸う環境がかなり変わってきたこともありますが、業界の皆様方のご努力による販売時での年齢確認の徹底など、平素からの業界関係者の皆様の取り組みの成果が現れているものと考えております。
20歳未満喫煙禁止法違反の検挙数は、昨年、警視庁管内では2件ございました。その2件については、どちらも親権者が20歳未満の子供が喫煙していることを知っていながら、注意もせずに放置しており、悪質なものとして検挙に至っているものです。
警視庁少年育成課では、子供や若者に対して、万引き・喫煙・飲酒の大きく3つの防止の取り組みをしています。この3つはいずれも、大きな犯罪へのゲートウェイと見なされています。ゲートウェイ犯罪という言葉がありますが、その意味は、例えば、最初は万引きから始まって、窃盗、強盗などに至ってしまうケースが多くみられるということです。
今、少年犯罪のなかで大きな問題になっているのが大麻です。大麻の検挙が急増しています。令和6年12月に大麻取締法が改正され、今までは所持しか取り締まれなかったものが、使用でも取り締まれるようになり、より少年の大麻による検挙が増えると予想されます。
大麻で検挙される少年のほとんどが喫煙での補導歴があります。やはりルールを守れないということが大きな問題であり、それを大人が教えること、遵法精神を育てることが非常に大切だと考えます。
引き続き、警察としても20歳未満の喫煙防止に努めてまいります。販売者の皆様も今後とも販売時の年齢確認など、よろしくお願いいたします。20歳未満の購入希望者が来店し、年齢確認や注意した際にトラブルが発生したなどがありましたら、ためらわず110番をお願いします。警察は20歳未満喫煙防止に長年取り組まれてきた皆様の味方です。年齢確認を行った際のトラブル等が発生した場合には、ご遠慮なく通報していただければと思います。
警視庁として、ピーポくんを使った20歳未満喫煙飲酒防止のA4サイズのシール型チラシを作成しています。各警察署に配布、管内の販売店様にお配りするよう指示はしていますが、なかなかすべてのお店にお配りすることは難しい面もあります。皆様の方からもお気軽に管内の警察署に問い合わせいただければ提供させていただきます。
今後とも皆さまと連携を取りつつ、20歳未満の喫煙防止に向けた各種対策に取り組んで参ります。皆様の引き続きのご協力をよろしくお願いいたします。
■公益社団法人 全国少年警察ボランティア協会
少年警察ボランティアとは、警察本部長等から委嘱された民間スタッフである、少年補導員、少年補導育成委員、少年指導委員等を総称するもので、地域における少年の非行防止や少年の保護を図るための活動の中心的な役割を担っています。現在、全国の少年警察ボランティアの数は47都道府県で少年補導員、指導員等が約48,000人。大学生ボランティアも約4,000人おり、中学生、高校生への架け橋となって活動していただいています。
これら少年警察ボランティアの皆さま方が日々、街頭補導活動、非行防止教室、薬物乱用防止キャンペーン、学習支援、少年をインターネット被害から守るためのサイバーパトロール活動など、少年の健全育成のための活動を警察官と一緒に実施しております。
20歳未満喫煙防止対策については、「健全育成ハンドブック」を小学生用、中学生用の2つ用意し、小中学生の喫煙防止に関する規範意識などを掲載して広報啓発に努めております。このハンドブックは、日本宝くじ協会の助成を受けて毎年、全国の小学校・中学校、図書館、マスコミ等に15万8千部を無料配布しています。
こちらのハンドブックは改訂から5年を過ぎて少年を取り巻く環境もかなり変わりつつあるということもあり、有識者の方々を含めて見直しの作業を行い、来年の春に新版が完成します。
当協会は、今後も少年警察ボランティアの皆さまと協力して20歳未満喫煙防止活動を含めた少年の健全育成の活動を支援していく所存ですので、皆様のご理解とご協力をよろしくお願いいたします。
■財務省 関東財務局 東京財務事務所
最近のたばこ行政の動向と20歳未満喫煙防止対策に関する関東財務局の取り組みの2点につきましてお話しさせていただきます。
まず、最近のたばこ行政の動向につきまして、都内におけるたばこの小売販売許可店数の推移は、
令和3年度末:約19,600店舗
令和4年度末:約19,300店舗
令和5年度末:約19,000店舗
となっており、小売販売許可店数は減少傾向が継続、近年では毎年、約300店程度減っている状況です。
20歳未満喫煙防止対策に関する関東財務局の取り組みについてお話しします。多くの団体様から要請等を受けまして20歳未満の方の喫煙防止への取り組みを積極的に推進するため、対面販売時の年齢確認を求めるポスターを、私ども財務省と警察庁とで作成し、財務省のホームページに掲載しております。ホームページからダウンロード、プリントし、店頭に掲示するなど、ご活用いただければと思います。
皆様方のご努力にもかかわらず、残念ながらたばこを販売する際に年齢確認を行わずに販売してしまい、警察に検挙されるといった事案も発生しております。検挙された事案が発生した場合、警察から関東財務局に連絡がされます。連絡を受けた場合には、当局ではたばこの小売許可業者に対して、警告書による注意といった行政指導を行っております。更に小売許可業者が検察当局から処罰された場合、たばこ事業法に基づきまして、営業停止もしくは小売販売業の許可そのものの取消を行うこととなります。
最近の検挙数は、東京都を含む関東財務局管内(1都9県)の数字となりますが、
令和3年度:16件
令和4年度: 9件
令和5年度:11件
令和6年度9月まで:6件 となっています。
このうち東京都は、令和2年度、3年度は1件ずつ、令和4年度以降は検挙の実績はございません。これも皆さま方のご協力のおかげだと考えております。
今後におきましても本日ご出席の皆さま方と連携いたしまして、20歳未満の喫煙防止活動に取り組んでいく所存ですので、ご協力のほど、よろしくお願いいたします。
■全体質疑
質問:一般社団法人日本たばこ協会
回答:警視庁生活安全部少年育成課
質問
私どもでは毎年7月を「20歳未満喫煙防止強化月間」として活動を強化していますが、補導件数の多い時期はいつ頃か、教えていただければ幸いです。
回答
その他の要素もあるので確定的なことは言えませんが、夏休み期間である8月が最も多く、次いで新学期が始まる9月が多い印象があります。20歳未満喫煙防止の啓発といった点からは、夏休み時期の前に実施することは大きな意味があると思います。また、こういった情報が各団体の皆様と共有されることで、20歳未満喫煙防止活動がより一層効果的なものとなると思います。
■おわりに
東京都たばこ商業協同組合連合会・副会長の塩田孝二氏より、「20歳未満喫煙防止の課題については、たばこ業界の一団体だけでは解決できない問題です。また、一時の対策ではなく、息の長い活動を行うことが必要です。当連合会といたしましても、たばこの小売業を営むものとして本日のご報告、ご意見を組合員全員と共有するとともに、今後も皆さま方のご支援をいただきながら精一杯の活動を積み重ね、青少年の健全育成に努めていく所存です」という閉会の言葉で締めくくられました。