3月30日、JT東京支店にて、平成21年度「東京都未成年者喫煙防止推進協議会」が開催された。
協議会では、たばこ業界における未成年者喫煙防止対策の取組み、出席各位の未成年者喫煙防止対策についての報告がなされた。
たばこ業界と関係機関の強い連携及び、家庭教育も含めた地域社会全体での子供を守る・育てる意識が、未成年者喫煙防止活動の更なる成果に繋がるとして、積極的な意見交換が行われた。
また、東京都でタスポカードが導入された2008年7月よりのち、自動販売機でのたばこの売り上げが激減する一方、未成年者喫煙による補導の件数も確実に減少しているという推移をたどっている。出席各位の様々な意見、質問、情報交換の声が飛び交った。
JT東京支店日本では1900年から未成年者の喫煙を防止する法律があり、それに則り我々も未成年者の喫煙を業界をあげて阻止していかなければならない。ここ最近の取り組みで最も大きなものは、未成年者が自動販売機からはたばこにアプローチができないようにする成人識別自動販売機の導入にある。
しかし、成人の喫煙者がたばこを購入する際に一手間かけてしまう不便があるため、たばこ購入者がコンビニエンスストア等に流れてしまっており、自動販売機メインで営業をしていた販売店の売り上げは減少してしまったという現状もある。業界は大変厳しい状況にあるが、我々は未成年者の喫煙がゼロになることを目指している。
今後もたばこ販売店だけではなく、学校教育、家庭教育、または地域の支援等、関係各所の連携を強め、ご指導、ご支援を賜りながら様々な取り組みの中で未成年者の喫煙を減らしていく社会認識を深めていきたい。
未成年者の喫煙問題は、たばこ業界だけで解決できる問題ではなく、家庭教育を含め社会全体で取り組む必要のある問題。各地域においても、自治体、警察署や関係機関のご指導をいただきながら、たばこ販売組合など業界の連携を強化し、啓発キャンペーン等による啓発活動の推進をしている。
学校等へのポスター掲示、新聞広告による啓発、また、対面の販売店頭では、「愛の一声」・未成年者には「売らない」「買わせない」「吸わせない」の三ない運動を推進している。
未成年者喫煙防止をさらに推進するために、私たちは責任のある大人として、業界の一員として今後も未成年者の喫煙防止に積極的に協力していく。
社団法人日本たばこ協会
未成年者喫煙防止への取り組みとして、自動販売機売り場での未成年者喫煙防止のためのタスポを訴求。タスポについては、十分な社会的な認知、理解が得られているものと考える。今後はタスポの風化防止と、その社会意義の継続周知に努める。
2009年より学校が夏期休暇を迎える7月に関係団体(たばこ販売場所、未成年者が多く集まる施設)と協力して、未成年者喫煙防止の問題に取り組み、社会全体の意識を高めることを目的とした「未成年者喫煙防止強化月間」をスタート。これにより、たばこ業界以外の各団体からの賛同・協力を得られたことは、大きな前進と考える。今後も、各業界団体の意見を取り入れつつ、継続的に年齢確認の取り組み強化を図っていく。
東京都たばこ商業協同組合連合会
未成年者喫煙防止に関する取り組みとして、販売店頭でのポスターの掲出、自動販売機へのステッカー貼付による注意・啓発をはじめ、「愛の一声運動」などの活動を組織を挙げて積極的に行ってきた。販売店頭において、未成年者と思われる来店者には「たばこは二十歳になってから」と声をかけ、販売しない活動を全国的に実施。
また、たばこ販売業界の活動を更に一歩進め、社会的要請である青少年の育成問題を業界の課題と捉えて活動できる体制の構築に向けて、関係団体の協力を得て「青少年指導員養成講座」を開設。
今後は、タスポカードを大人が子供に貸与しないように、大人のモラル向上を訴えていくこと、店頭における未成年者喫煙防止対策への取り組みを今まで以上に強化していく。
東京都青少年・治安対策本部総合対策部
「心の東京革命」として、次代を担う子供たちに、親や大人が責任を持って、正義感や倫理観、思いやりの心を育み、人が生きていく上で当然の心得を伝えていく活動を執り行っている。
心の東京ルール~7つの呼びかけ~では、挨拶をさせる、叱るべきところは叱るというところを中心に展開している。子供たちに挨拶をさせることをきっかけに人と人との絆を深めていき、社会性を身につけてもらうことを目的とする。そのためには家庭、地域の協力なしには子供の健全育成は成り立たず、親・大人に対する啓蒙、普及活動にも力を注いでいる。
東京都教育庁 指導部 高等学校教育指導課
禁煙教育としては、都立学校敷地内では全面禁煙とし、児童・生徒の喫煙防止教育のより一層の推進を図っている。
教育には児童・生徒への指導の他、保護者への啓発もまた重要であると認識している。特に長期休暇に入る春、夏、冬の前に各都立高校へは喫煙問題も含めた生活指導を通知している。未成年者の健全育成には、教師と保護者、地域の大人が一体となった指導が不可欠であり、引き続き関連機関の協力を仰ぎながら取り組んでいきたい。
警視庁 生活安全部 少年育成課
昨年の少年の街頭補導状況は、都内で65000人、前年比でマイナス2700人と約5%の減少。喫煙で補導された人数は16076人、昨年よりマイナス694人と約4,1%減少している状況にある。喫煙で補導した際の少年への聞き取りでは、たばこの入手経路の約9割が対面販売によるもの。タスポの普及に伴い、自動販売機での購入が難しくなったことによる。
反面、コンビニエンスストアで14歳の少年にたばこを売った販売店によると、年齢を確認するのが面倒だったという報告等もあり、指導員がコンビニエンスストア等、販売店に個別訪問して、未成年者にたばこを販売しないよう、注意喚起をしている。
警視庁の取り組みとして、来年新学期を迎える4月を「未成年者喫煙防止対策推進月間」として、各警察庁を主軸に少年補導員、指導員、母の会、少年警察ボランティアと協力し、合同補導を通じて街頭での未成年者喫煙防止に力を注いでいく。
社団法人 全国少年警察ボランティア協会
不良行為少年の補導人員の推移をデータで見ていくと、喫煙での補導はタスポ導入後の2008年は前年より大きく減少し、翌2009年には更に激減しているなど、実際に未成年がたばこを手にする機会が減った成果が見られる。
我々ボランティアの活動は、主として街頭での非行に走る前の子供たちに声をかけて注意、助言をし、非行に走らせない、被害にあわないようにすること。少年補導そのものが子供を見守り、育む活動だと考える。少年警察ボランティアの補導員の平均年齢は58歳と、ほぼ子育てを終えている人たちが大半であり、従って補導員たちに街頭補導を通じて若い父母に子育ての支援もしてもらうべく、全国展開をしたいと考える。引き続き、関係各所のご協力を賜りながら全国の子供たちの育成に励みたい。
2008年より順次全国に展開された成人式別自動販売機により、未成年者喫煙による補導件数は確実に減少傾向にある。出席各位の未成年者喫煙防止に対する意見交換では、未成年者の喫煙問題にとどまらず、責任ある大人として、青少年の健全育成を推進する情報、意見が交わされた。今後は対面での未成年者への販売防止の徹底に力を注いでいくことが課題となった。