3月19日、JT東京支店にて、平成23年度「東京都未成年者喫煙防止推進協議会」が開催された。
協議会では、たばこ業界における未成年者喫煙防止対策の取り組み、出席各位の未成年者喫煙防止対策についての報告がなされた。
たばこ業界と関係機関の強い連携及び、家庭教育も含めた地域社会全体での子供を守る・育てる意識が、未成年者喫煙防止活動の更なる成果に繋がるとして、積極的な意見交換が行われた。
また、東京都でタスポカードが導入された2008年7月よりのち、自動販売機でのたばこの売り上げが激減する一方、未成年者喫煙による補導の件数も確実に減少しているという推移をたどっている。出席各位の様々な意見、質問、情報交換の声が飛び交った。
■JT東京支店
喫煙は、健康に関する情報を認識したうえで、一人ひとりが大人としての判断にたち、喫煙するかどうかをご自身で決めていただくものです。未成年者は、心身の発達過程にあって、それぞれの性格及び、生活様式が未確立であり、かつ判断力も充分ではありません。加えて、未成年者の喫煙は法律によって禁止されています。我々はたばこメーカーとして、たばこを吸われる方、吸われない方が共存できる社会を目指しています。同時に未成年者がたばこを買う、吸うことのない社会も目指しています。
JTは未成年者にたばこを吸わせることを意図した活動は一切行っておりません。JTは、企業としての社会的責任を果たす観点から、従来より関係団体と連携しつつ、未成年者喫煙防止のための諸対策を行っています。未成年者喫煙問題は、たばこ業界だけで解決できる問題ではなく、家庭教育も含め社会全体で取り組む必要のある問題です。JTとしても、未成年者喫煙防止に向け、今後とも引き続き、関係団体との連携を一層強化し、諸対策に積極的に取り組んでいきます。
JTを含め、業界として現在行っている具体的な活動としては、全国のたばこ販売店の店頭等へ未成年者喫煙防止訴求ツール(バッジ・店頭用ステッカー等)の掲出。たばこ販売店の対面販売による「愛の一声」運動の展開。マスメディア等による未成年者喫煙防止啓発広告活動。2011年度のキャッチコピーは『「大人がとめてくれたから」。それはきっと、子供がやめる理由になっている。」。サブコピーは『未成年者の喫煙は大人一人ひとりが自覚し、社会全体で取り組む問題です。』。また、地域における未成年者喫煙防止活動と、成人識別たばこ自動販売機の稼働。これらの啓蒙活動を続けることにより、今後も未成年者の喫煙防止に努めていく。
■社団法人日本たばこ協会
2009年より学校が夏期休暇を迎える7月に関係団体(たばこ販売場所、未成年者が多く集まるカラオケボックス、インターネットカフェ等)と協力して、未成年者喫煙防止の問題に取り組み、社会全体の意識を高めることを目的とした「未成年者喫煙防止強化月間」をスタートさせた。店頭訴求ツールを展開し、年齢確認を強調したデザインのポスターやステッカー等の掲出を通じて、未成年者喫煙防止に取り組む姿勢と協力をアピールした。全国の主要都市(35都市)での啓発イベント、学校向けポスターキャンペーンを未成年者喫煙防止強化月間に合わせ、継続実施。
taspoについては、十分な社会的認知、理解が得られているものと考える。また、成人識別自動販売機の導入により、対面販売での未成年者への対応がこれからの課題と考えている。今後も、各業界団体の意見を取り入れつつ、年齢確認の取り組み強化を図っていく。
■東京都たばこ商業協同組合連合会
たばこ販売組合ではかねてから、未成年者喫煙防止に関する取り組みとして、販売店頭でのポスター掲出、自動販売機へのステッカー貼付による注意・啓発をはじめ、「愛の一声運動」などの活動を組織を挙げて積極的に行ってきた。2008年3月から九州南部地区において、タスポの取り組みをスタートさせ、順次全国展開し、同年7月には全国で稼働。これにより、たばこ自動販売機は屋内も含め、昼夜を問わず未成年者のアクセスを排除できるシステムとなった。各地で開催されている未喫協議会等の報告によると、喫煙による補導件数については、タスポ導入後に大幅に減ったとの情報があり、効果があったものと認識してる。
6年前のタスポ導入以前には、全国でたばこ自動販売機の台数は562,552台。2012年1月末現在では、325,047台と、約24万台減少している。タスポ導入により、自動販売機の売り上げは約4割減っているが、販売者側の実感としては、半分ほど減ったという声が上がっている。販売者としては、まさに身を削って、未成年者喫煙防止に取り組んでいる。
今後はタスポカードを大人が子供に貸与しないように、大人のモラル向上を訴えていくことと、店頭における未成年者喫煙防止対策への取り組みを今まで以上に強化していく。
■東京都青少年・治安対策本部総合対策部
子供たちがたばこに手を伸ばすきっかけは、背伸びをしたい、かっこつけたい、大人の真似をしてみたいという軽い気持ちから入り、それがやがては常習化していくパターンが多いように思われます。今日、子供たちが目にする喫煙の情報は、マンガやテレビ映像を含め、一昔前に比べれば、ずいぶんと減少しました。それは、様々な分野の節度ある大人の努力によるものだと思います。そういった意味では、今、子供たちがたばこを吸いたいとは思わない環境になってきています。
我々が推進している「心の東京ルール」には、「他人の子供でも叱ろう」とあります。大人の批判意識の低下も問題視されるようになり、子供を導いていく大人としての自覚を持ってもらうため、親・大人に対する啓蒙、普及活動にも力を注いでいます。
■警視庁 生活安全部 少年育成課
昨年の少年の街頭補導状況は、都内で約55,000人、前年に比べるとマイナス7,600人、約12.3%減少している。喫煙で補導された人数は14,000人強、4人に1人が喫煙により補導されているが、未成年者の喫煙も減少している。減少の理由として、たばこの値上がり、タスポの導入、対面販売での徹底した声がけによるものである。これは、業界関係者の努力が効果として表れていると思われます。少年センターでの聞き取りによると、未成年者のたばこの入手経路は「コンビニエンスストアでの購入」が75%、「友人からもらった」が15%、「小売店から買った」が7%、それ以外が親や先輩のタスポを借りたというものである。
警視庁の取り組みとしては、新学期を迎える4月を「未成年者喫煙防止対策推進月間」として、各警察庁を主軸に少年補導員、指導員、母の会、少年警察ボランティアと協力し、合同補導を通じて街頭での未成年者喫煙防止に力を注いでくとともに、警察の少年課や少年センターが直接学校へ出向いてセーフティ教室を行うなどの活動を4月だけではなく、恒常的に行っていく。
■公益社団法人 全国少年警察ボランティア協会
少年警察ボランティアとは、警察本部長等から委嘱された民間スタッフである、少年補導員、少年警察協助員、少年指導委員等を総称するもので、地域における少年の非行防止や少年の保護を図るための活動の中心的な役割を担っている。非行や被害とそれらの防止を説いた小学生、中学生向けの「健全育成ハンドブック」を小学生用5万部、中学生用5万部、計10万部を作成し、全国のボランティアの現場、小学校、中学校に無償配布している。この健全育成ハンドブックを活用しながら、子供たちに規範意識を持たせること、被害者の痛みを理解させ、相手を思いやる心を育てることを促し、子供の非行や犯罪を退け、安全で明るい社会づくりを目指している。
たばこ業界と関係機関が一堂に会し、情報や意見を交換する「東京都未成年者喫煙防止推進協議会」も今年で20回目を迎えた。2008年より順次全国に展開された成人式別自動販売機により、未成年者喫煙による補導件数は確実に減少傾向にある。今後は、対面売り場による未成年者へのたばこの販売が課題となるだろう。現在、未成年者のたばこ入手ルートは、コンビニエンスストアでの購入が多いというデータもあり、チェーン加盟店の協議会参加を呼びかける声も上がった。