代表 | 水谷 章道 |
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住所 | 荒川区西尾久 |
都電荒川線・小台駅から歩いてすぐのところにある「水谷商店」。少し足をのばせば隅田川、裏路地に入ればどこか懐かしいにおいが漂ってきそうな風景。また、戦後の焼け野原の中、日本経済を復活させた中小企業が創業した土地でもあります。 そんな荒川から、テレビやインターネットでも度々紹介されている、“都電ブランド”にこだった地酒もご紹介します!
お店はもともと酒屋さんだったんですか?
大正11年にたばこ屋と酒屋を創業して、今年で80年になります。その前は、親父が数少ない「錦絵」の鑑定屋をやっていました。お酒が好きな人だったんで、大正11年にこの土地に来て酒屋を始めました。来てからすぐの大正12年に、関東大震災と洪水で建物が1年の間に2回も崩壊したんですよ。
コンビニにされたのは?
15年前です。コンビニにする4年位前に、「ワイン&ギフトショップ」みたいな感じに、一度改装したんです。その後すぐに区画整理で引っかかって、建て直す際に「お酒の取扱い免許もこれから緩和されてきて、酒屋だけでは厳しいだろう」と考えましたので、コンビニにしました。
商店街がにぎやかですね
この大通りが出来たのは昭和2年です。さくらの花が散ったころ、街路両側の姫林檎の木が白くてかわいい花を咲かせるんです。小さな実がなって、収穫して林檎酒なんかも作ったりして、商店街で楽しみにしています。
裏玄関の細い通りは旧西新井街道(西新井大師に延びている)で、荒川で一番物価の安い通りなんです。ここに住んだら、他で買い物できないってくらい安い。
この商店街のホームページもあるんですよ。2・3世の若い世代が、8名位のグループを作って一緒にやっていて、商店街を盛り上げようとがんばっていますよ。
地域限定の“都電ビール”もおいてらっしゃいますね
息子もメンバーの一員ですが、11年前に地域の酒屋さん12人が集まって「都電の街グループ」を結成したんです。もっと地域に密接した商売をしようと。そこから商標登録も取得した「都電の街」ブランドが誕生しました。この商品を求めて、わざわざ遠くからお越しくださるお客さんもたくさんいるんです。お酒類の他にも、“都電の街”ビールをかたどったライターも販売中です。
サービスの面で、気を付けていることなどはありますか?
お店に来てくださるお客さんを一人でも大事にしていきたいと思っています。ただ、売り買いの関係ではなく、絶対に何か声をかけてることを主体にしています。そうすると回転率が悪くなるから、コンビニにとってはマイナスになるだろうと意見もありますが、お客さんの心を掴むために、これからは何か特徴を持っていかないといけませんから。近くに住んでいるお年寄りの方に、「誰もいないから、お兄さんやってくれない?」と頼まれることもありますし、配達はあまりしていないけれど、荷物が重ければ運びますし、先代からうちはそういう主義なんです。
また嬉しいことに、昔お母さんに手をつれられて買い物に来ていたお子さんが、今度は自分の子供を連れて「おじちゃん元気?」なんて久々に尋ねて来るんです。でも、何十年ぶりにあったりして、容姿が変わってわかんなかったり(笑)。
定休日はあるんですか?
コンビニなんですが、第2・3日曜日にあるんです(笑)。それは、よそのお店を見て回りたいからなんです。若いときからずっと、どこそこにこんな事してるお店があると知れば、行って自分の目で確かめてきます。お店で取り入れたいっていうのが一番ですけど、趣味みたいなものですね。
周辺案内
都電荒川線
東京に残る唯一の路面電車、都電。その前身は明治44年、大塚~飛鳥山間に開通 した王子電車。現在、早稲田~三ノ輪橋間の30駅を所要時間約48分で、日中なら5~6分間隔で運転されている。
あらかわ遊園
大正11年、その当時では珍しい娯楽施設の完備した遊園地として誕生。入場料はなんと大人160円!(中学生以下は無料!)。
規模は小さいながらも、のりもの広場・どうぶつ広場・つり堀・ハンドクラフトコーナー・ローラースケートなど、1日かけて遊びたい施設が充実している。
編集後記
おだやかにゆっくりと話されるご主人の水谷さん。知らず知らず、心が和んでしまいました。ご近所の方は水谷さんのお人柄を求めて、お店へと足を運ばずにはいられないといった感じのようです。その現われとして、たばこの売上は6:4の割合で、店頭販売の方が多いそうです。“都電ブランド”ともども、益々発展していくにちがいありません。