代表 中野 金次
住所 葛飾区堀切

 菖蒲で有名な堀切の街を見守り続けて105年、たばこと家庭日用品のお店として、地元の方々から長い間愛されいる「中野商店」さん。ヨネスケさんの“隣の晩ごはん”にも出演したという、2代目のご主人・中野金次さんにお話を伺いました!

創業105年のお店だそうですね

“MILD SEVEN”の大きな看板が遠くからでも目立っています。

 はい、おかげさまで、親父の代からこの地で商売をはじめてかれこれ105年経ちました。昔でいえば万屋、たばこと生活雑貨を扱うお店です。
 今ではめずらしい、「洗濯板、たらい、座敷ぼうき、漬物石」といった昔ながらの商品も取り揃えていますので、家庭で扱う日用品で揃わないものはないんじゃないかな。 昔から、お客様に気楽に来ていただける店作りを心がけていますので、たばこでも対面販売が主流です。
 たばこは昭和8年に大蔵省専売局から許可を頂いて、その時に頂いた桐箱を今でも大事に使っているんですよ。

今でも現役でお店に出られているんですか?

歴史を感じさせる桐箱

 現在は、店のことは息子夫婦に全て任せています。昼休みに店番を交代するくらいで、あとはのんびりしています。「じいさんいないの?」と言ってくださるお客様もいらっしゃいますので、そんな時は店に出てきてちょこっと話などしたり。でもそういうことは大切で、一服している間に「そういえば、あれもなかったから買って帰らないと」となることも多いんですよ。

堀切といえば菖蒲園ですね

お土産用として造花の菖蒲が好評。

 そうですね。普段は静かな街ですが、5月末から6月の菖蒲の時期になるとよそから多くの方が訪れますので、お祭りのような雰囲気ですね。ちょうど駅から菖蒲園に行く間の道にお店が面していますので、菖蒲を抜きに商売は成り立ちません(笑)。
 菖蒲の絵柄が描かれた観光たばこを昔は扱っていたんですよ。お土産用によく売れましたね。
 堀切は、戦前は花を作っている農家の多い土地でした。区画整理がされずに、道が戦前の農道のままなので、下町らしい昔ながらの入り組んだ街並みが残されているんでしょうね。

ご趣味は?

なんと80歳になられる中野さん。とてもお若くてお元気です。

 お天気がいいと表を散歩したり、自転車で河川敷に行ったり、「今日はこっち明日はこっち」という具合なんで日焼けで真っ黒ですよ(笑)。車の免許を返納しましたから、もっぱら足が自転車なんでね。忙しいときや昔からのお年寄りのお客様に届け物を頼まれたりしたら、自転車で配達したり。

お元気の秘訣は?

3世帯が一緒に暮らす古き良き下町の家族です。

 元気の秘訣は、お嫁さんの料理がおいしいことかな。 去年、「隣の晩ごはん」というテレビ番組で、落語家のヨネスケさんがうちに取材に来たんですよ。 ちょうど、夕飯の一杯をやろうとしたところに、大きなしゃもじを持っていらして(笑)。
 放送している最中から、電話がどんどんかかってきて、半日は電話がなりっぱなしでした(笑)。だいぶご無沙汰の戦友や学友からも電話や手紙がきたり、テレビの影響力はすごいですね。
 だから、お客さんからも「この家だね。料理上手のお母さんがいるのは」って声をかけられますよ。

周辺案内

堀切菖蒲園

 堀切は綾瀬川に沿った低湿地で、昔から特に花菖蒲の栽培に適している所とされていたようです。広重の錦絵や名所案内、紀行文にも堀切菖蒲園の事が記されていることから、江戸時代には広く知られていたことがわかります。
 現在園内には、200種類・6000株の花菖蒲が植えられており、毎年6月の開花時には多くの見物客でにぎわいます。また、菖蒲の他にも四季折々の草木が植えられ、様々な風情が楽しめる庭園です。

住所:葛飾区堀切2-19-1 ※京成線堀切菖蒲園下車徒歩10分

編集後記

 ひかえめで礼儀正しいご主人は、もうすぐなんと80歳!とてもとてもお若くて、年齢を聞いてびっくりしてしまいました。きっと、お嫁さんの愛情こもった手料理を毎日めしあがっているからでしょうね。
 なんといっても、お嫁さんの料理の腕はヨネスケさんのお墨付きで、「いやあ料理上手なお嫁さんがいる家は幸せだね。おじいちゃんも笑顔いっぱいだったもの」と言って帰られたとか!