代表 蛭間 誠
住所 板橋区板橋

 首都高速道路の板橋ジャンクションの高架近くにお店を構えていらっしゃる蛭間商店さん。国道17号沿いで交通量が大変多い場所ではありますが、以前ラーメン屋さんだったという店内には昔の什器類がそのまま残っていてのんびりとした雰囲気。今回はそんな"スロー"なお店を切り盛りしていらっしゃるご主人にお話を伺ってきました。

もともとはラーメン屋さんだったとか

笑顔がとても素敵なご主人

 そうですね、ここに店を構えたのは父親の代からなんですが、戦前から焼き芋を売ったりあんみつやところてんを売ったり、いろいろ商売をしていまして、戦後はずっとラーメン屋をやっていました。
 もう10年ぐらい前にたばこ販売の許可が取れたときにやめちゃいましたが、それまでは私も手伝っていたんですよ(笑)。今はたばこが専業ですが、店内の厨房やカウンターもまだそのままだし、いろんな道具も全部残っていますから、またやろうと思えば始められるだけの設備は揃っていますよ(笑)。まあ、もうこの歳になるとそれだけの体力はありませんけれどね。なかなかきつい仕事でしたから。

店内の机なんかも味がありますね

昭和の香りが残る店内

 これもラーメン屋の時の名残でね。机や椅子は全部そうですよ。木製でちょっとがたがきてますが、昔のまんまです。電話も未だに古い黒電話を使っていますしね(笑)。でも特に不自由はありませんよ。さすがにたばこの注文にはコンピュータを使いますけどね。
 うちは自販機売りが多いけれど、たまにたばこを買ってそのままお店の中で吸っていく人がいるんですよ。これからはたばこも吸う場所がなくなってくるから、たばこ屋がそういう場所を提供するっていうのも大事だと思うんですよね。だから、本当はもっと宣伝して、みなさんの休憩所みたいに利用してもらえるといいんですけどね。まあ、私はもう歳だから無理だけど、息子なんかがそういうこと積極的にやってくれればいいなとは思いますね。

このあたりは官庁が多いですね

お役所が全て集まった官庁街

 そうですね。板橋の区役所、保健所、郵便局、それから警察署に消防署と、何でも揃っていますよ(笑)。ずっと前からあったわけじゃなくて、戦後に開発が進んで徐々に出来てきた感じですね。まあお店をやる方としてはありがたいですね。
 うちに来るお客さんもお役所で働いている方が多いです。お昼の休憩時間だけじゃなくて、通勤途中にも利用してくださる方も結構いらっしゃいます。その代わり土日はやっぱり人が少ないんですよ。かといって土日を両方休んじゃうとね、商店街では他に営業しているお店もあるわけで。だから、うちは日曜日にお休みさせてもらうことにしています。

何か心がけていらっしゃることはありますか

お店は、首都高速道路の板橋ジャンクションの高架下にあります。

 昔はご近所の人がまとめ買いとかしてくださっていましたけれど、最近はめっきり少なくなりましてね、売上は自販機が90%ぐらいなんですよ。自販機は5台ありますからとにかく品切れをしないように注意しています。だから詰めるだけで一時間ぐらいかかっちゃいますね。基本的には売れ筋のモノを中心に装填という感じです。最近はたばこの種類もどんどん増えていますから、銘柄の選択にも気を使いますね。単に売れるものだけを選ぶっていうんじゃなくて、あまり売れないものでもそれを買いに来てくださるお客様がいらっしゃるわけだから、そういう銘柄はできるだけ残すようにしたりしてね。

お店の前がとてもきれいですね。

美しく掃除されたお店の前

 うちの店は角にあるから結構吸殻とかを捨てる人が多いんだよね。だから店の前は気をつけて掃除するようにしています。もちろん自販機も毎朝きれいにするようにしていますよ。灰皿を外に置いてもいいんだけれど、置いたら置いたですぐにいっぱいになっちゃうからね。そのあたりが難しいところだよね。でもやっぱり、自分の店の前ぐらいはちゃんとしておかないとね、そう思って毎日やっています。

周辺案内

東板橋公園

 蛭間商店さんから歩いて10分程度のところにあるのが東板橋公園。広さ的には普通ですが、園内設備は野球場、テニスコート、プールにプレイパークと盛りだくさん。駅からさほど遠くない場所にこれだけ充実した施設があるのは驚きです。

こども動物園

 東板橋公園の中に併設されているのが板橋区立こども動物園。本当に小さな動物園ですが、やぎ、ひつじ、あひる、ポニー等々、たくさんの動物がいて、時間によってはポニーに乗ったり、ヤギにえさをあげたりも出来きます。

編集後記

 今も昭和の風情が残る店内や、ご主人が手入れされているという多くの観葉植物はまさに時代のキーワード"スロー"を感じさせる雰囲気。自販機売りがメインのため、店内でたばこを吸われる方は少ないそうですが、ここでゆっくりとイスに腰を下ろしての一服はまさに至福の一時と言えそうです。お近くに寄られた際には、お試しになられてはいかがでしょうか。