代表 三森 明代・横田 理裕子
住所 新宿区北新宿3-4-8
TEL 03-3361-2521

大久保・新大久保といえば、コリアンタウンとして老若男女問わず絶大な人気を誇っていますが、最近は中国や東南アジア系の飲食店や食材を扱うお店も増え、海外からの観光客も相まって無国籍タウンと化してきました。

JR総武線の大久保駅から西へ5分程度歩いたところにある三森商店さん。
ここで長らくご商売をされている奥様と娘さんにお話を伺ってきました。

お店の創業はいつ頃でしょうか?

お話を伺った三森さんと娘さんの理裕子さん。

奥様:酒屋としてお店は戦前から商売をしていました。そのときにもたばこを扱っていましたが、昭和19年にたばこが配給制になり、家族は田舎に疎開していたのでひとりでは手が回らなくて、一度はたばこの販売許可を返上したんです。

その後、またたばこを売りたくて、ご近所のたばこ屋さんがやめるときに、急いで申請して再び販売の許可をもらいました。それが1985年(昭和60年)の4月1日です。

戦前からここでご商売をされていたのですね。今は何代目になるのでしょうか?

たばこの銘柄豊富です。

奥様:私の義父がお店を始めたので、二代目ですね。私はここにお嫁に来てからずっとお店番をしています。

酒屋なので配達が多くて、昔は丁稚さんがいたんですよ。御用聞きといって、近所に必要なものを聞いて回って配達していました。今は娘とお店を見ていて、たばこの仕入れも娘に任せています。

理裕子さん:今は父ももう年で配達が厳しいので、配達するのは昔からの馴染みの限られたところだけです。近所の鎧神社のお祭りが毎年9月にあるので、御神輿をかつぐ方々の休憩のジュースの手配などですね。

昔は持ち回りだったんですが、この近所の酒屋さんもどんどん減ってきてしまったので、ほとんど毎年うちが担当するようになりました。配達は、そういった特定のところだけにしています。

新大久保〜大久保エリアはここ数十年で街並みがずいぶん変わりましたよね。
歩いていると無国籍感がすごくあります。

お酒とたばこのお店です。

奥様:外国の方がすごく増えました。初めは新大久保の東ほうからコリアンタウンみたいになっていましたけど、だんだん大久保のほうまで、今度は韓国ではなく、アジア系のお店が増えたんですよ。

理裕子さん:コロナ明けからアジア系の飲食店や雑貨店が増えました。ミャンマーやネパールとかですね。最近韓国の人のほうが少なくなってきたと思います。

近くに東京日本語教育センターというアジア系の留学生が通う学校があるんです。日本の大学を受験するための予備校的な学校で、そこの学生さんなどもたばこを買いに来てくれますよ。

やはりお客様も日本人だけではなく、外国人も多いでしょうね。

マイナカード、運転免許証で買える新自販機が設置されています。

理裕子さん:留学生さんは、はじめはカタコトの日本語で外国の銘柄を注文したり、指さしたりしていたのが、やっぱり勉強しているのでだんだん喋れるようになってくるんですね(笑)。

あとは、このへんに勤めていて、何年も通ってくれる方もいらっしゃいますが、転勤で来なくなってしまうこともあります。人の出入りが激しいので、たばこの売上げの増減もあります。

奥様:常連さんはやっぱりこのあたりに住んでいる方が多いですね。

常連さんとはお話したりしますか?

大久保駅から徒歩5分の酒屋さんです。

奥様:はい。お話ししますよ。ひとり暮らしのお年寄りもいますから、買い物してお話するのが楽しみという方もいます。

理裕子さん:私がお店に立っていると「今日はお母さんいないの?」って聞いてくる人もいますよ。私じゃなく、母とお喋りしたいみたい(笑)。

私がお店番のとき、店に来て何も言わないお客様もいるんですよ。母のときはお客様の顔を見たらすぐたばこを出せるので、それに慣れているんですね(笑)。それで私が「すみません、銘柄は何でしたっけ?」って聞くこともあります。

奥様:常連さんとの会話もですが、どんなお客様にも親切に笑顔で対応するということを心がけています。

周辺案内

圓照寺

真言宗豊山派。平安末期、関東で起こった「平将門の乱」を平定した武将、藤原秀郷によって建立された。その昔、境内にあった右衛門桜は「江戸の三桜」に数えられ、桜の御寺として名を馳せたが太平洋戦争時に焼失。しかし、現在もしだれ桜を始め、四季折々の花を咲かせている。

新宿区北新宿3-23-2
JR総武線「大久保」北口下車徒歩約10分

北新宿公園

中央に球技ができる多目的広場があり、神田川の河岸段丘の高低差を利用した遊具が楽しい公園。長い滑り台や吊り橋遊具は子供たちの遊び場となっている。秋になると、緑のヒマラヤスギ、赤のアカガシワ、黄色のイチョウが色づき、訪れた人の目を楽しませてくれる。

新宿区北新宿3-20
JR総武線「大久保」北口下車徒歩11分


編集後記

取材中にもお店の敷地内に設置してある灰皿で一服していく人が入れ替わり立ち替わりいらっしゃいました。灰皿を掃除するのは二代目のご主人だそうです。たばこを吸える場所が少なくなってきているなか、喫煙者にとって大切な憩いの場です。

人の出入りが激しい場所とのことですが、昔から通ってくる地元の常連さんも多く、奥様はそういう方々との交流を大切にしているようです。

昔ながらの商店を頼りにしているお客様もたくさんいることでしょう。これからも元気にご商売を続けていってほしいです。