代表 | 川口 恭正 |
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住所 | 中野区沼袋1-28-14 |
TEL | 03-3386-5560 |
西武新宿線の沼袋駅からほど近い朝日通りに、昔ながらのお米屋さん・川口精米店さんがあります。周辺は神社仏閣や公園も多い閑静な住宅街ですが、この朝日通りは道幅も広く、商店街として栄えてきました。
こちらで長くお米屋さんを営むご主人にお話を伺ってきました。
お店の創業はいつ頃でしょうか?
ご主人:昭和29年頃に父が米屋として始めました。ですから、お店はもう70年近くになりますね。僕は二代目です。
たばこのほうは、同業者がたばこ屋さんをやっているということで、うちも申請したんですね。でも、なかなかすぐには許可が下りなかったと聞いています。距離基準については、問題なかったようなんですが、ちょっと苦労してやっと許可が下りたのが昭和から平成になった年ですね。たばこも取り扱うようになって35年くらいになります。
ご主人がお店を継がれたのはいつ頃ですか?
ご主人:僕が30歳のときなので、店を継いで38年になります。それまでは商売につながるような職ということで、レストランに勤めていました。接客業ですね。
レストランのほうは午前中で、午後は自分の家の店に出たりと、店の手伝いはずっとしてました。
やはり、ご商売の家なので自分が継ぐというご自覚があって?
ご主人:そうですね……。それはどっちでもよかったんですけど(笑)。父に継いでくれと言われたわけでもないですし。兄と姉がいますが、兄は大学卒業してすぐ就職したので、僕はレストランで働いたり、遊んだりしながら、ゆくゆくは実家の店を継げばいいくらいに考えていたんですね。
父のように自分の店をいちから起こした人間とは必死さがちょっと違っていたかもしれません。
先代のお父様から教えられたことは何かありますか?
ご主人:特に教えられたことはないですね。30歳でお店に入って、しばらく父と一緒にやっていましたが、変な話、父が作り上げてきた土台ができあがっていて、お客様もついていましたし、僕が何か新たに営業したり開拓するまでもなく、当時は忙しかったんです。
やはり、父のほうがお客様とのつながりが強いもので、僕が御用聞きに行っても父のほうがいいっていうお客様もいらっしゃったかもしれません(笑)。
それでは、ご商売を営む上で気をつけていらっしゃることは?
ご主人:昔は忙しかったということもあり、お客様に無理難題を言われたり、無理目なお願いをされると、ついつい「じゃあ他のお店に行ってください」と心の中で思うこともありました。でも、商売を続けていくうちに、だんだんと「お客様のお願いは聞こう。お客様のために何でもやろう」っていう気持ちに変わってきましたね。
若いときは苦労知らずでやってきちゃったから、今はちょっと苦労するようになりましたが(笑)。お客様の立場で考えよう、お客様のためを思って商売しようと心がけています。
周辺案内
中野沼袋氷川神社
ご祭神は須佐之男命。境内には幸せを呼ぶ「三本願い松」や、太田道灌が献植した「道灌杉」(昭和17年に枯れて現在は杉跡)、「中野七福神」がある。地域の人のみならず、遠方からも参拝者が足を運ぶ。
中野区沼袋1-31-4
西武新宿線「沼袋」下車徒歩2分
中野区立沼袋公園
公園内には子供が喜ぶ遊具が多数設置され、地域の人の憩いと交流の場となっている。また、カエデやイチョウの樹木が紅葉の季節には鮮やかな色に染まり、訪れる人の目を楽しませてくれる。
中野区沼袋1-19
西武新宿線「沼袋」下車徒歩5分
編集後記
ご商売やご自身のことを謙遜しつつ、穏やかにお話をしてくださったご主人。お店は朝8時から夜20時までで、日曜日だけお休みということですから、それだけでも熱心にきっちりとご商売に取り組んでいらっしゃる姿勢が伺えます。店構えもご主人は「古いだけ」と仰っていましたが、昔ながらのお米屋さんという昭和レトロな雰囲気がとても素敵だと感じました。
実際、以前に近所に住んでいたという方が「懐かしい」と言ってお店に来ることもあるそうです。