代表 | 佐藤 正美 |
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住所 | 杉並区堀ノ内1-12-10 |
TEL | 03-3311-8690 |
大宮八幡宮はかつて、武蔵国三大宮のひとつ「多摩の大宮」と称され、境内は約15,000坪と、都内でも3番目の広さを誇ります。また、昭和44年には旧境内地から弥生時代の祭祀遺跡が発見され、太古からこの一帯が聖域であったと判明しました。
今回お伺いするのは、この大宮八幡宮の参道入口にお店を構えるサトウ文具さんです。ご家族でお店を営むご主人にお話を伺ってきました。
お店の創業はいつ頃でしょうか?
ご主人:隣の大宮小学校が創立されたときに、学用品を扱うお店として始めたそうですが、そうすると大宮小学校は昨年で創立140周年を迎えましたから、同じだけの年数が経っているということになっちゃいますね。
昔のことなので、詳しい創業時のことはわかりませんが、文具屋とたばこ屋という形で会社組織になったのは戦後だと思います。お店自体はその前からやっていたと聞いています。
文具と学用品とたばこを扱っていらっしゃるのですね。
ご主人:そうですね。教科書も扱っているので、3~4月、8~9月の新学期の季節は忙しいです。教科書自体は学校での支給になっていますが、杉並区にある50校くらいある小学校のうちの1/3はうちが取り扱っているので、それなりの数ですね。それぞれの学校に配達しています。
先代の父は教科書供給の業務に精励したということで、黄綬褒章を授章しました。そういう意味では、教科書とは切っても切れない結びつきがあります。
たばこのお客様は地元の方が多いでしょうか?
ご主人:地元の方が多いと思います。ざっくりとした感覚ですが、7~8割は地元の方かな。すぐ前が方南通りなので、景気の良いときは、タクシーの運転手さんが車を停めて買ってくださることが多かったです。
夜にたばこの看板を灯すと目立つらしくて。それも自動販売機が売れてた頃ですね。昔2台置いていた自販機は1台になりました。それでも、灰皿は2カ所置いています。
たばこを吸える場所がどんどん少なくなってきましたよね。隣の小学校で運動会や学芸会などのイベントがあると、保護者の方々がみんなうちに喫煙しに来ますよ(笑)。
今は学校の敷地内は全面禁煙になっていますから、10人、20人単位で来ます。隣に飲み物の自販機もあるのでちょうどいいみたい。
そのような利用者も多いのですが、子供の通学路なので、できれば灰皿を撤去して欲しいという話も来ます。一応、通学時間帯の喫煙はできるだけ控えてくださいという貼り紙をしたりしました。
奥様:たばこが嫌いな方もいるので、店側の私たちも努力しますが、お客様のほうでもマナーを守らないとクレームになって、灰皿を撤去せざるを得なくなりますよね。紳士的に使ってくださる方のほうが圧倒的に多いのですが、悪いマナーって目立ってしまいますから。
ご主人:それはあるよね。でもたばこを売っている限りは、できるだけ灰皿は残そうと思っています。
喫煙者にとって街角の灰皿はとてもありがたいものです。マナーを守って利用し、店側にも非喫煙者にも迷惑をかけないよう心がけることが大事ですね。
奥様:たばこは嗜好品として残っていって欲しいですね。国内で生産もしていて、葉たばこの農家さんが頑張って育てている姿を見ています。
たばこは工業製品ではなくて、植物を栽培して生産されているものです。そういう認識も薄れてきているので、もうちょっと知っていただければ少しは見方も変わるのかもしれないですよね。
ご主人:家内は宮城県の出身で、葉たばこ農家さんが畑で働く姿を見てるんです。だから余計にこれからもたばこが残っていって欲しいと感じているんですよ。
そのとおりだと思います。それでは、ご商売を続ける上で気をつけていらっしゃることは?
ご主人:お店全体のことで言うと、いいものを選んで店頭に置くようにしています。
今はスーパーやホームセンター、100円ショップでも文房具が買えますが、できるだけ品質に自信を持ってお客様にお勧めできるものにしています。
学用品で言うと、体操着や水着や上履きも置いていますが、それもできるだけ日本製でしっかりとした品質のものを選んでいます。
安くて壊れやすいものではなく、多少高くても長持ちする良いもの、専門店ならではの品揃えを心がけています。
周辺案内
大宮八幡宮
東京のへそ(東京の真ん中)、子育て厄除けの八幡さまとして、由緒ある大宮八幡宮。都心のなかにあって、緑豊かな境内は15,000坪もあり、鎮座地の大宮という地名は宮の神域が広大であったことから名付けられた。
杉並区大宮2-3-1
京王井の頭線「西永福」下車徒歩7分。
和田堀公園
23区内では数少ない広大な敷地を持つ都立公園。善福寺川沿いに造成されており、水と緑の豊かさを感じられる近隣住民憩いの場となっている。公園内には球技場、バーベキュー広場、釣り堀などがあるため、遠方からの来訪者も多い。
杉並区大宮1・2丁目ほか
京王井の頭線「西永福」下車徒歩12分。
編集後記
長い間、地域に根ざしてご商売をされているサトウ文具さん。お店にはご主人、奥様、息子さんがいらっしゃって、ご主人が我々の取材を受けている間は、奥様や息子さんがお客様の対応をされており、そのやり取りがとても親身で温かいものでした。
隣に大宮小学校があり、文具を買いに来ていたお子さんが「20歳になりました」とたばこを買いに来たこともあったそうです。
地域の方々との触れあいが感じられる素敵なエピソードをお話いただき、心が温まりました。