代表 石山卯三郎
住所 北区滝野川3-45-6
TEL 03-3940-2697

東京都城北エリアの北区滝野川。滝野川とは石神井川の別称。

江戸時代に滝野川近辺でゴボウを栽培し、品種改良された立派なゴボウは、たちまち江戸の街で人気となりました。現在でも、滝野川ゴボウは、東京特産の伝統野菜として江戸東京野菜に認定されています。東京特産の野菜が生まれる滝野川。

そんな滝野川八幡通り商店会にある石山商店さんのご主人と奥様にお話を伺ってきました。

お店の創業はいつ頃でしょうか?

お話を伺ったご主人と奥様

ご主人:関東大震災の前の大正時代です。店は私の母がやっていて、創業時からたばこを扱っていました。

奥様:昔、この先に東京第一陸軍造兵廠といって、軍の弾薬などを造る工場があったんです。そこで働く従業員は三千人くらいいたと思います。皆さん、駅からこの前の道を通って通勤するので、その頃に滝野川八幡通り商店会ができたんですね。

聞いた話ですが、ダンスホールや飲食店もたくさんあって、華やかだったらしいですよ。今は寂しくなっちゃいましたけど。

お店ができて百年近い歴史があるんですね。

たばこの陳列棚です。

奥様:先代の義母の代では、たばこと荒物を扱っていましたが、私たちのときは、たばことパンとお菓子の店にしたんです。

ご主人:ヤマザキ サンロイヤルという店ですね。店でパンを加工して提供するんです。それは10年くらいやっていました。

隣が八幡神社なので、七五三のときに、お子さんたちが七五三詣でにくるんですよ。だから、店の前に千歳飴を並べておくんです。着物姿のお子さんたちがみんな買いに来てくれました。

それは華やかでいいですね。今のようなお店の形態にしたのはいつ頃からでしょうか?

パンとお菓子、ジュースも置いています。

ご主人:平成15年に店を半分にしたんです。昔はもっと広かったんだけど。

奥様:この滝野川八幡通り商店会も、どんどんお店を閉めちゃって、今はもうかつての三分の一くらいです。

そういう中で、うちは、なぜこんなに長い間店をやっていられるのか考えたんですが、それはやはり主人が毎朝6時半には店を開けるからなんですね。365日店を開けています。

休みの日も午前中は開けていて、その努力があるからこそ、今もこうやって店を続けていられるのだと思います。

素晴らしいですね。「ここのお店はいつ来ても開いてる」って周知されて、お客様も安心してこられますよね。

この近辺では灰皿が少ないため、利用者も多いのだとか。

ご主人:近くにJR職員の社宅があるので、朝はだいたい出勤する職員の方々が買っていってくださいます。やはり常連さんが多いですね。

奥様:主人はお客様の顔を見れば、全部銘柄がわかっているので、すぐに出すんです。

私は主人ほどではないので、私が店番してると、「今日はお父ちゃんいないのかい?」ってお客様に言われますよ(笑)。

それでは、長年ご商売をされてきた中で思い出に残っていることは?

滝野川八幡神社すぐ隣のお店です。

ご主人:以前、近所にお住まいで、いつもうちにたばこを買いに来てくださっていた会社員の方が引っ越しをされたんです。お引っ越しされるのだから、もう店には来ないだろうなと残念に思っていたのですが、そのお客様は「また来るので取っておいて」と言うんです。

言われたとおりに、毎週日曜にうちに買いに来てくれるんですよ。もう長いお客様ですが、わざわざ来てくれて、本当にありがたいですね。

周辺案内

瀧野川八幡神社

創建年代は不明。一説には建仁2年(1202)とも言われているが、確かではなく、平安時代後期から鎌倉時代初期と推定される。ここ数年流行の御朱印が、勝利の御神徳にちなんだV印を拝し、季節により意匠を変更するなど人気を博す。

北区滝野川5-26-15
都営三田線「西巣鴨」より徒歩7分

四本木稲荷神社

東京砲兵工廠銃砲製造所の構内社であった四本木稲荷神社を分祀したもの。かつてあった四本木稲荷神社の境内は、現在中央公園の一部となり、社殿は滝野川の四本木稲荷神社へと遷された。

北区滝野川3-61-1
都営三田線「西巣鴨」より徒歩10分

編集後記

石山商店さんは、何と毎朝6時半には開店しているのです。これは、早朝に出勤する方々にとって、とてもありがたいことですよね。

そして、ご主人は80歳を超えているとは思えないほど、若々しくお元気でいらっしゃいます。毎日決まった時間にお店を開けていることが若さの秘訣なのでしょうか?

また、奥様もとてもお話し上手で朗らかに接して下さいました。お客様を大切にしているからこそ、お客様からも大切にされるお店なのでしょうね。

これからも元気にお店を続けていって欲しいです。