代表 桜井 勝
住所 渋谷区神南

 競争と変化の激しい渋谷公園通りで、若者のニーズを取り入れながら、地元の取引先との信頼関係もガッチリと築き上げている「香取屋」さん。地の利を活かした誠実な接客と配達を強みに、事業を順調に広げています。渋谷で生まれ育ったご主人の桜井さんにお話を伺いました。

ご商売の業種は?

百数十年の間この地でご商売されています。

 酒類、飲料、お弁当、コンビニ商材をはば広く取り扱っている商店です。各社の生ビール特約店であり、渋谷という土地柄、地元の企業・飲食店さんともお取り引きさせて頂いています。「指定の場所へ指定の時間に無償で誠実な配達」はうちの売りだと思っています。

たばこ屋さんとしての特徴は?

店主の桜井さんご夫婦

 たばこについての博物館としては日本で1つしかない“たばこと塩の博物館”に近いたばこ屋として、手売りを重んじていること。
 それからお客さんに“若い人が多いこと”。そのトレンドにあったたばこを揃えておくこと。それが如実なのが、渋谷では“エコー”がよく売れます。JTさんとも何でだろう?って話してるんだけど、渋谷の若者にとって1つのブランドになっているんでしょうね。

未成年者が買いにくることもあるのでは?

 渋谷だから多いけど、未成年者には100%売りません。きっぱりと断ります。見分けがつきにくい場合は身分書の提示を求めています。その辺はキチっとしないと、あいまいに売ったりなんかできません。
 断るのも快感の1つだったりして(笑)。

ずっとこの地でご商売を?

レンガ敷きの渋谷公園通り

 江戸時代鍋島藩の領主から先代がこの地を買い取って、お酒から薪までを扱う“万屋”を営んでいたんですよ。国鉄の職員だった親父がそこに養子にきて2代目を継いで、今は私の代。住まいもこのビルで、私は小学校から大学までずっとここから通っていたんです。今となっては公園通りに家族で住んでるのはうち位だね。

渋谷公園通りとして何か取り組んでいることは?

灰皿とゴミ箱は商店街で管理してます。

 公園通り商店街で美化推進のための予算をとって、公園通りにゴミ箱と灰皿を設置しています。現在、大規模な道路整備工事をしている最中ですが、完成後には車道と歩道の境界線にプランターを設置して、寒椿やサツキツツジ、クルメツツジなど四季の花々を植える予定になっています。

ご主人から見た渋谷の魅力は?

全国でも香取屋さんにしか置いていない!渋谷特製ライター 。

 お好み焼きのように、いろんな“人”がごちゃ混ぜで通りを歩いてるから、人類学の研究にはもってこいだと思いますよ(笑)。
 経済・技術・ファッション、何をとっても時代の最先端を行く街だけど、おばちゃんが1人で店番してるようなたばこ屋さんにふと出会って、何かほっとする気持ちになるような光景って今はないでしょ。渋谷にもそういうたばこ屋さんが昔はあったんですよ。お年寄りがいないのが残念で寂しいよね。

周辺案内

たばこと塩の博物館

 1978年に開館した「たばこと塩の博物館」は、たばこと塩に関する歴史と文化を広く紹介している博物館です。国内外のたばこ・塩の歴史がわかる常設展のほかに、期間限定の特別展・企画展も行われています。ちなみに2003年9月6日(土)~10月19日(日)の日程で、企画展「シガー ラベルの世界」~葉巻の箱の小さな芸術~が行われています

編集後記

 「若者の嗜好を常にキャッチするよう心がけている」というご主人。葉巻に興味を待っている未経験の若者が試しやすいよう、バラで1個1個包んで販売するという工夫も、日頃の人類学研究の成果でしょうか。
 最後にご主人談です。「未成年者にはたばこは売らないけど、この辺の若者に人気のある洋服屋のことならほとんど知ってますよ。顔なじみの店員も結構いるから、もしお店の場所とかわからなくてお困りの方はご案内できますよ」