代表 | 中溝 宏 |
---|---|
住所 | 〒143-0015 大田区大森西7‐9-11 |
TEL | 03‐3734‐5958 |
京急本線、梅屋敷駅より、ぷらもーる梅屋敷商店街を抜け、東邦医大通りをまたいで更に西に少し歩くと、リカーショップなかやさんがあります。ぷらもーる梅屋敷商店街は、よくテレビでも取り上げられる地元密着型の商店街です。昔ながらのお総菜屋さんや雑貨屋さんなどが多く、梅屋敷の人々に愛されています。そんな梅屋敷で長い間、酒屋さんを営むなかやさんの奥様にお話を伺ってきました。
お店の創業はいつ頃でしょうか?
奥様:昭和44年です。最初に店を始めたのは、ここから100メートルくらい離れた場所に団地があるんですが、そこの一階で昭和60年まで店をやっていました。その後、今の場所に移転したので、ここで店を構えてからは30年くらいですね。たばこを扱い始めたのは、昭和54年です。お酒とたばこ、食料品、雑貨まで何でも置いていました。
酒屋さんというよりコンビニのようですね。
奥様:昔は何でもよく売れたんですよ。ここに移転した昭和60年頃は、めちゃくちゃ忙しかったですね。店が忙しくて、私は家のことがまったく出来なかったので、家政婦さんを雇っていたのですが、お昼ご飯はその方が握ってくれたおにぎりをレジで食べながら仕事していました。昔はお酒は酒屋じゃないと買えなかったので、みなさん1本から買いに来て下さるでしょう。その上たばこの手売りもありましたし。酒屋って普通は店売りと、家庭の配達くらいですが、うちは飲食店にも卸していたんです。居酒屋、スナック、小料理屋さんなどに配達していたので、主人は配達で忙しくて、店には出られなかったんですよ。
皆さん忙しい時代でしたね。
奥様:そうですね。あの時代は飲食店もすごく忙しかったんですよ。宴会なんてあると大変で。このへんは工場が多くて、そこで働く職人さんたちがまたよく飲むんですよ。たくさん働いて、たくさん飲んで食べて。でも、時代とともにお得意様の飲食店も年々減ってきて、昔の1/3くらいになってしまいました。あんなに忙しかったのが今は嘘みたい(笑)。うちは息子が店を継いでくれていますが、一度、息子と将来性がないからやめちゃおうかと話したこともあったんです。でも、息子が他の酒屋さんと一緒に、葬儀場で出すお酒の注文を取って配達する仕事を始めました。他に、大きい会社内での会食に出すお酒の配達も始めたので、それが今は大きいですね。
二代目の息子さんが時代にあわせた営業を開拓されたのですね。
奥様:そうですね。目の前にスーパーができて、お酒、たばこを扱うようになってからは、今は店のほうは暇になっちゃいましたから(笑)。スーパーができた頃、平成20年から宝くじの販売もしています。ロトやナンバーズなども扱っているので、そろそろお客様に大当たりが出て、店のほうも繁盛すればいいですね(笑)。でも、昔の忙しさが今も続いていたら体がもたなかったと思います。若かったからできたようなものですね。昔は週に一度の定休日も休みじゃなかったです。宅急便や切手、はがきも扱うので、お休みの朝7時、8時頃に玄関にお客様が来て、宅急便の箱と住所を書いてるメモを渡されて「奥さん、これ伝票に書いて荷物出しておいて。帰りにお金払いに来るから」っていうお客様もいました。出かけようとしても、「悪いけどビール売ってくれる?」とか、夜寝ようとしても、「悪いけど今から配達して」とか、しょっちゅうでしたよ。
でも、イヤな顔ひとつせずに応対されていたんですね。素晴らしいです。それでは、奥様がご商売で気をつけていることは?
奥様:私は嫁いできてから、接客を始めたんです。それまで商売をしたことがなくて、商売がわからなかったから、今思えばおごりかもしれないけど、お客様には結構親切にしてたんじゃないかと思います。自分が大変だったから、相手も大変だろうと思って色々なことをしたと思います。例えば、宅急便を持ってきた人でも、本当はきちんと梱包してから持ってこなきゃいけないんですけど、中身だけ持ってきたお客様に店の段ボールを使って私が全部梱包してあげたり。それは、何でやるかというと、私が梱包したほうが早いからですけどね(笑)。忙しかったので、時間がもったいなくて、「やっておきますよ!」って何でも引き受けました。今もそういうお付き合いの、お中元やお歳暮を買って下さるお得意様も電話一本でわかりますし、たばこのお客様も昔からカートンで買って下さる方が多いですね。
周辺案内
妙典寺
永徳元年(1381)上杉六郎が開基となり、天台宗妙田寺として創建。のち、日蓮宗に改宗し、妙典寺として改号。近辺の旧家である蒲田氏、山本氏の墓がある。
大田区蒲田2-3-10
京浜急行線「梅屋敷」下車徒歩5分
ぷらもーる梅屋敷商店街
梅屋敷駅西口前の1番街から東邦医大通り手前の5番街まで、全長555メートルに及ぶ商店街。約140店舗が軒を連ね、地元の人々にはかかせないコミュニケーションの場ともなっている。
大田区大森西6-13-17(ぷらもーる梅屋敷商店街コミュニティセンター)
京浜急行線「梅屋敷」下車すぐ
編集後記
日本がとても忙しかった時代、なかやさんも同様に寝る間もないほど忙しく働いていたそうです。お休みの日でもお客様がお店に来れば、親切にご対応していたということですから、ご近所の方にとっては、頼れるお店だったのだろうと思います。今は、お正月とお盆には、3日間お休みをとって、ご主人とお二人で旅行に行かれるのだとか。跡継ぎの息子さんも新しい営業スタイルでお店を盛り立てているようですから、とても心強いですね。