代表 森岡 謙二
住所 北区赤羽

 古くは街道が通り、明治以前より交通の要所として栄え、東京の北の入り口とも呼ばれる赤羽。現在は開発も進み住宅地としてのみならず商業地としても賑わいを見せています。そんな赤羽の商店街で新しいたばこ屋のあり方を提案する「タバコセンター やまとや」さんをご紹介します。

お店に紳士服が飾ってありますが

ご家族三人でのショット

 うちはもともと紳士服を扱うお店だったんですよ。ただ私はずっとたばこの販売をやりたいと思っていましてね。たばこ販売店としての許可を取ってから徐々に商品を切り替えてきたんです。今はジッポーだとかキャメルだとかたばこのブランドロゴの入った服だけを置いています。たばこ販売を始めたのは日本たばこ産業が民営化になるちょっと前からだからもう15~6年目になりますね。今はこの店以外に2店舗あります。

ご家族で運営されているんですか

ご主人自慢のヒュミドール

 そうですね。もうお店のことはできるだけ息子にやらせるようにしています。ただ家族皆でやると大変な面もありますよ。この商店街は火曜日が休みなんだけど、やっぱり休めないですよね。店を開ければ開けただけ収入があるけれど、休んだら全然ないわけだから。

商店街は活気がありますね

 ここのラ・ラガーデンという商店街はアーケードの幅が13mと広いし、天井も高いんです。そういうこともあるんじゃないかな。もともと商店街活性化コミュニティ構想の一部だったんですよ。それをそのまま実践したんですけれど、それがよかったんでしょうね。お役所とのやり取りでは難しい面もいろいろありましたけどね。でも、これだけの商店街は都内でもここだけだと思いますよ。

立派なヒュミドール(葉巻保管室)がありますね。

一見たばこ屋さんには見えない店構え

 これは今年5月に改装したときに作ったものなんですよ。それと同時にスタンディングのカウンターも用意したんです。なぜかっていうとお客さまにもちゃんと管理した葉巻を、自由に吸って頂く場所を確保してあげたくてね。それがたばこ屋としての責任だと思っているんです。千代田区条例の例もあるし、これからは今までのようにただ単に売るだけじゃダメだと思ってね。

葉巻がお好きなんですね

葉巻以外の商品も豊富

 もともとは辛いものだと思っていたからそんなに好きじゃ無かったんです。でも、あるときちゃんと管理された葉巻を吸う機会があってね、それで吸ってみたんだけれど、そうすると甘いんだよね。すごくうまかった。そうやって、葉巻は管理の仕方によって味が変わってしまうっていうのを知ってしまったから、なおさら葉巻の美味しさをちゃんと伝えたいと思うんですよ。

葉巻の管理は大変そうですね

ずらっと並んだ葉巻

 難しいですね。でもお客さまの中にはここで初めて葉巻を買って吸うっていう方も多い。だから本当に管理には気を使うんですよ。やっぱり温度と湿度。でもそこをしっかりやっていると、うちの葉巻を吸って改めて葉巻の美味しさに気付いたって言ってくれる人も出てくる。後、葉巻を扱い始めてから、お客さんに外人が増えたんだけれど、彼らは目が肥えているからね。気が抜けないですよ。

将来の夢は何でしょう

 やりたいことはいっぱいあるんだけど、やっぱり日本の中でいろんなたばこの葉を栽培出来ればいいなと思うんですよ。若い人たちと力をあわせてね。最近の若者は目的もなくフリーターが多いなんて言われているけど、話してみるとしっかりしているし、仕事もできるしね、情熱もありますよ。だからもっと道を開いてあげる必要がある。いろいろ制度面なんかで難しいところはあるけれど、そういう動きが日本のたばこ産業の未来につながっていくんじゃないかと思いますよ。

周辺案内

赤羽自然観察公園

 JR各線を始め地下鉄南北線等、交通の利便性を生かして商業地として注目されている赤羽であるが、赤羽自然観察公園は駅周辺の賑わいからは想像できないような都内でも有数の自然を身近に感じることのできるスポット。北区が管理しており入園は無料。広大な敷地の中には多目的広場(グランド)、たんぼ、水鳥の池、ディキャンプ用の施設(要予約)などバラエティに富む施設がある。敷地面積は5.5haであるが現在も拡大中。もともとやせていた土地に自然を回復させるための様々な実験が現在進行形で施されている。

ララ・ガーデン

 赤羽駅北口から延びる深緑のアーケード入り口が目印の大きな商店街。入り口を少し入ったところの右側にあるのが「たばこセンターやまとや」さん。約300メートルある商店街には様々な業種のお店が約70店舗並んでいる。道幅がとても広く、天井も高くて明るい商店街で、イベント等の企画もたくさん行われており、平日・休日問わず賑わいを見せる。ご主人の森岡さんは商店街振興組合の理事長を勤められ、地元商店街の活性化にもご尽力されている。

編集後記

 歴史ある公募美術展として有名な二科展で審査員をお勤めになる等、画家としてもご活躍される森岡さん。油絵のみならずたばこ(特に葉巻)へのこだわりも本物でした。またたばこを売る者の義務としての喫煙場所の提供や、日本のたばこ産業の将来を見据えたお話等、柔らかな語り口でお話くださいましたが、その内容は大変鋭く示唆に富むものでした。