代表 | 森 孝之 |
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住所 | 〒162-0801 新宿区山吹町335 |
TEL | 03-3268-6829 |
広い早大通りの一角にある森茶店さん。通りの名前のとおり、近くには早稲田大学があります。お話をして下さったご主人は5年前まで早稲田大学で教鞭を取っておられたそうです。ご主人の朗らかでフランクなお話ぶりを聞いていると、大学の生徒さん達もさぞかし楽しい授業だったのではないかと想像しました。
お店の創業はいつ頃でしょうか?
お茶は昭和8年頃から始めて、たばこは昭和25年頃ですね。たばこを始めたのはお茶屋仲間でたばこを扱うところが多かったので勧められたようですね。私が3代目で今は4代目の息子が店をみています。
息子さんが継がれる前はご主人がずっとこのお店をみていらっしゃったのですか?
僕は他に仕事を持っていたんで、女房が店をやっていました。僕は早稲田大学の仕事をしていて、70歳で定年になって、それから5年間店を手伝ってるんです。とは言ってもここから職場に通っていて、店は生活の中に入ってきましたから、禁煙問題などにも関心を持っていました。僕の大学の時の仕事も人間の生理学とか健康関係の人間科学だったので、直接的に興味を持つわけです。そういう意味でたばこに関心があって勉強もしたんです。
大学教授が更に勉強をされたのでしたら鬼に金棒ですね(笑)。
健康問題というのは心が大事なんです。健康というのは自分がダメだと思ったらダメになるものなんです。大丈夫だと思えば意外に大丈夫なものですよ。たばこの問題でも喫煙者がストレスを緩和するものとして一服するのは何の問題もありません。最近の禁煙運動というのは、心の部分を忘れて薬学的な部分だけで追求しすぎかもしれませんね。
今は割と一方的に喫煙者の立場が弱くなっていますね。
医学的にたばこをやめられたほうがいい方はやめたほうがいいと思いますが、だからといってすべての人にそれを勧めることはないですよね。だからやっぱり分煙というのが一番正しいのではないですか。健康で考えれば、吸い過ぎも飲み過ぎも食べ過ぎも体に悪いんですから、みんな一緒ですよ。心の部分が軽視されていますね。好きか嫌いか、人間がどう考えるかというのはすごく大事なことなんです。そう考えると、たばこを吸うことでほっと一息入れるということはものすごく大事な部分ですよ。
人に迷惑をかけないことが一番大切ですね。
そうです。昔に比べると吸い殻を捨てる人もだいぶ減りましたね。他人にお構いなく、たばこを吸ってぽんぽんとその辺に捨てて、人ごみの中でも吸いながら歩くなんてことは、やってはいけないのが当たり前で、たばこを吸ってる人のマナーの問題です。人に迷惑をかけないというのも心の問題でしょ。たばこを吸う時に『たばこいいですか』と言う相手に対する気遣いがあれば、『どうぞ』と言えるでしょう。お互いの立場を尊重するのが民主主義ですからね。
お店にはたばこの他にお茶の種類も多いですね。
うちはお茶を仕入れるとすぐに検査をします。苦みが強い、とか甘みがあるとか、みんなで試飲します。同じお茶でも受け取る側によって変わりますよね、それが嗜好品なんです。例えば高いお茶をもらって、もったいないからって取っておくでしょ。でも高いお茶は変質しやすいから早く飲んだほうがいいんです。たばこにもそれが言えると思います。だから気をつけているのは売り切れになるのは困るけど、かと言ってあまり在庫をたくさん持って古いたばこをお客様にお出しすることがないようにしています。お茶で経験していますから。
お客様にはお茶もたばこも常に新鮮なものをというご主人のお考えですね。
今でこそ、どこでもクーラーがありますが、昔はお茶がクーラーのあるところに入ってて、人間が暑いところにいたんですよ。先代からずっとお茶の管理をしている部屋は常に一定の温度が保たれている。お客様に一番おいしいものを、という創業者からの商売の主義主張がたばこにも活かされて、息子がそれを受け継いで今があるんですよ。
周辺案内
甘泉公園
甘泉公園の名は、庭園の中央に湧き水があり、その清水がお茶に合うところに由来します。「山吹の井戸」というひょうたん型の池を中心に、池の南に三島山があり、樹木も多い回遊式の庭園です。日本海側や東北地方などの豪雪地帯で、雪の重みからくる枝折れを防ぐ工夫の雪吊りも見られ、日本庭園の美しさを改めて感じさせてくれる区立公園です。
住所:東京都新宿区西早稲田3-5
※東京メトロ東西線「早稲田」下車 徒歩10分 都電荒川線「早稲田」下車 徒歩3分
穴八幡神社
穴八幡神社は、寛永十三年(1636)に徳川幕府・御持弓頭の松平左衛門尉直次が射術の練習をするため、ここに的山を築き、弓矢の守護神である八幡神の小祠を営んだことに始まります。祭神は、応神天皇、仲哀天皇、神功天皇。冬至から節分までの期間に配布される「一陽来復御守」は江戸時代から続いている伝統あるもので、金銀融通の御守として知られています。
住所:東京都新宿区西早稲田2-1-11
※東京メトロ東西線「早稲田」下車 徒歩5分
編集後記
ご主人は今もたばこやお茶の勉強を熱心にされているのだとか。ご主人が大学の仕事をされている間ずっとお店をみておられた奥様も「話をするのは主人が上手ですから」と仰っていて、なるほどと思いました。4代目である息子さんも毎日配達やお店の仕事でお忙しくしていらっしゃるようです。